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Posted by おてもやん at

2018年04月14日

美学の中で生きる 〜熊本地震から2年〜




人格者というものは
遠くにいるのではなく
意外と近くに
実はいるのだと
私は取材をする中でよく思います

前例を知らない状況の中で表れるものは
常日頃積み重ねてきた
些細な
でも習慣となった思考や行動であることを
ハッと気づかされるのです


熊本地震から2年


誰かの体験が
誰かの教訓となるかもしれません



益城町の平田地区で
素敵な元気3姉妹とお父さんが運営する「みっちゃん工房」では
ベビーリーフが作られています

メモして貼っておきたくなるような言葉を
長女の遠山 智美さんから
たくさんいただきました



【みっちゃん工房のベビーリーフ】

3姉妹がスイカ、ミカンなどの果樹を育てていた
お父さんの農場を受け継ぎ
まだスーパーに並ぶことの珍しかったベビーリーフの
栽培を始めたのが10年ほど前。
女性でも作りやすいような
体に負担の少ないものをつくりたいと選びました。


取引先を探すことからのスタートでしたが
女性が買いたくなるようなサイズ感やパッケージなど
主婦ばかりのスタッフみんなアイディアを出し合い
健康ブームも相まって
みっちゃん工房のベビーリーフは
みるみる人気に。



阿蘇から流れるミネラルたっぷりの地下水で作るベビーリーフは
関西の人からは「味が違う」といわれることもあります。

「ベビーリーフの出来は「水」が決め手なの」

智美さんは そう教えてくれました







[仕分け作業中]





【 熊本地震発生 】

2度の震度7に見舞われるも
まだ新しかった工房は幸い無事。


しかし水は出ない。

水を汲みに水源地まで行ったけど
まっ茶色でどうしようもありませんでした。


近くのそうめん滝が回復して
タンクに汲んで対応しましたが
それまでの2、3日で
多くのベビーリーフがダメになってしまいました


そして
電気が通らない
電気がないと冷蔵庫が使えない


ベビーリーフは収穫して冷蔵庫で予冷してから出荷しますが
電気が通るまで10日ほどかかり大打撃…

せっかく育ち収穫しても予冷ができません。






先を見据え地震の翌日からタネを蒔きました。

種植えから収穫まで約2週間。
その間に電気や水道が戻ってきますようにと祈りを込めて。


[出荷前の野菜たち]



**

工房は 地震の直後から
従業員家族や近所の人の避難先ともなりました。

1ヶ月ほど工場で生活をする人や
避難している益城町の体育館から働きに来てくれるスタッフも。


みんなの距離が近くて、深くて、明るい。
それがみっちゃん工房です。


残念なことに
平田の集落では4名の方が亡くなられました

その中に
昔 お手伝いに来てくれていたおばあちゃんがいたことに
心が痛みます

 

【ふるさと という感覚】

思い返せば、精神的にとてもきつい時期がありました

「なんだろう?」と最初は分からなかったのだけど。



通りなれた道
遊びに行っていた友人の家

壊れて崩れているのを目の当たりにしたときに
どうしようも太刀打ちできないものに
親が痛めつけられているような

そんな苦しさを感じたのです


それがどういう感覚なのか
気づくまでに少し時間がかかりました



そもそも
ここは住みなれた地元だし
大切な人たちはいるんだけど
「ふるさと」というような
ほくほくと温かく感じるような
そんなものではありませんでした

それは
政治的に安定しなかったり
派閥があったり
マイナスな面もよく知っているからかもしれません。


だけど 理由も分からずなんだか苦しい。


そんな時、近くの美容室を訪れた際

「益城町民だから、益城のためにがんばる」

と言い切った美容師さんの言葉を聞いてハッとしました。



「あぁ、そういうことか。
 益城は自分をつくった血でもあり、肉でもあるったいね」


そう感じて覚悟が決まった。

「今ここで自分の地元に向き合わないでどうすっと!
 益城のためにがんばりたい。」

益城を大切に思う
郷土愛というものに気がついた瞬間でした。


【自分の美学の中で生きる】


震災後、益城では
行政に対して住民からも全国からも
批判の声やバッシングが寄せられました。


不手際もあったし、初期対応の遅れもあるし
ボランティアさんの受け入れをできる体制が整うのも遅かった
というのが大きな要因かもしれません。

確かにもっと準備をしておく必要があったのかもしれません
そうできたのかもしれません


だけど
かばうわけではないけど
2回の震度7の地震を体験した地域が他にありますか?

仕方がなかったことも多かったのではないか
という思いは否定できません。


どうしようもないくらいフル回転したって
間に合わないくらいの被害だったよね?って。

あるスタッフのご主人は公務員で
家は全壊しながらも
休みはとれず
連日泊まり込みで夜遅くまで働く必死な姿、
家族が彼を送り出す様子を 真近で見てきました。



みんなが精一杯でした。
みんなが等しく被災者でした。

誰が責められるでしょうか。





何もかもがごった返した状況の中で
自分たちのニーズが叶えられるのを待っていても
いつになるか見通しが立たないまま時間は過ぎます。

その間に自分たちが知恵を出し合って
力をあわせることはできます


町内で連絡網をつくって安否確認をしました。
小さなことながら、わずかに復興の兆しを感じました。

手をとり合って生き抜く希望の光というようなものでしょうか。

その当時感じたことを
智美さんはこう振り返ります。


「こういうときだからこそ、
生きるための想像力を働かせなんとよね。

そして、日頃から知恵や柔らかさを蓄えておく。

例えば、隣の人に必ず挨拶するとか、笑顔でいるとか、
そういうシンプルで基本的なことなんだけど。

それがおろそかになったとき、
変な情報に踊らされちゃったり
人を傷つけるようなことをしたり言ったりしがち。

だけどこんな時は助け合わんとどうしようもないたいね。」



そして走り抜けた2年間を前にして。


「実際に困ってどうしようも動けん人もいただろうし
だけど残念ながら誰かの不備を叩くことに一生懸命の人もいた。
大変な中で人に手を貸す人もいた。

自分のことができたら、人のこともできる。
自分を整えておくことで
誰かに手を差し伸べられるものだって
目の当たりにした感じ。



これは誰もに起こりうる、未曾有の災害の時。



こんなときにどうするか、
それが人間力というか。

心のあり方を自分に問いながら
自分の美学の中で生きていかなきゃ。

他力ではなく、自立して、ね。


その時は必死だったけど
日頃の積み重ねという生き方がそのまま出るとよね。
そんなことを今 改めて思うとたい。」



【熊本は、東北の真似をしたらいいよ】

2年経った今でもまだ地震の中で生きている人もいる。
前をなかなか向けない人も。

実はお父さまもそのうちのお一人でした。



被害の大きさだけでは測れない精神的な打撃。

来てくれたボランティアさんの中には東北の人や
阪神淡路大震災を体験した人が。

彼らは地域に物資を配りながら、
お父さんのお話を聞いてくれました。

ただただぶつけようのない思いを聞いてくれたことで
少しずつ明るさを取り戻しました。



「何も不安にならなくていい。
熊本は東北の真似をしたらいい。
僕たちはしっかり東北を復興していく。
だからね、熊本はただマネをしたらいいよ」



経験者の声に
どれだけ私たちは救われたでしょうか。

復興を担う背中がどれだけ勇気を与えてくれているでしょうか。



私たちは、これから他の地域で災害があったときには
同じ傷を共有できる。

これからは
「そうだよね」
って言ってあげることができるようになりました。


お父さんの話を聞いてくれたボランティアさんのように。



【手を繋ぐってきっとこういうこと】

工房の損害は1千万円を超えます。

加えて、
2016年、2017年合わせて4回の台風をお迎えしちゃって
もうさらに1千万を超える額が乗っかった。

震災で抱えた損害もまだ整理できていない状況の中です。

「やめて〜!って思うけどどうしようもないもんね。
そのくらいで済んだって思わなきゃ。」


そこで以前ご紹介したチロアウトさんのお話。

チロアウトさんがお店を再開するときに
お祝い金をお渡しになられたと
このブログの中でも書きました。
余裕がない中で どうしてそんなことができたのでしょう。


「あの人たちはね
『え、明日ビニールハウスにシート張るの?
じゃあ手伝いにきます!』
って言って 本当に来てくれそうな人たち。
あの大変な中 それを実行できる人はきっと多くないよね。


うちのベビーリーフをとても気に入ってくれているし
一生懸命作っていることを理解してくれている
その想いに応えたいって気持ちもあるかな。

それに、
私はあの親子の明るさから元気をもらっとるとよ。
まだ熊本に来たばかりのお母さんに
益城を嫌いになってほしくなくて。
あんな素敵な店を益城に構えてくれて嬉しい.

だからね、お互い様とよ」

***

彼女たちの明るい声が
工房から地域へ広がって行く様子がありありと見えます。



もう2年

まだ2年

まだまだこれから




益城は強い

熊本は強い

人間は強い





  


Posted by hachidori.photo at 00:19Comments(0)熊本:農家さんくまもと地震life

2018年02月02日

益城のカフェ"チロアウト"

2017年12月も下旬に入った頃
益城町にお邪魔しました。

熊本地震のことを忘れることはありませんが
もう1年10ヶ月以上も前に起こったことで
サラ地や新築の家が増え
公費での家屋解体率は90%を超えています

仮設住宅での生活は快適とは言えないまでも
日常に変わりつつあります



震災直後からお邪魔していた地域は
ゴーストタウンと化していた時期を越え
洗濯物が干されていたり
カーテンが開いていたり
以前の姿とは遠くても
生活の気配がすることにホッとしたような
そんな気持ちでした


益城町役場は建て直しが決まっており
役場機能は仮庁舎へと移っています

そんな 人がいなくなった役場の前に
かわいいカフェを見つけました



なんというか
失礼を承知で言いますが
ここ本当に益城かな
熊本地震ど真ん中の益城かなと
目を疑うような かわいらしい
「チロアウト」さん


娘さんが経営し
お母さんがサポートされています






置いてある雑誌の数々が
どストライクな幕末チョイスで感激した
なんて話は置いておき
幕末の志士とともにご飯を楽しみました


メインはもちろん
フレッシュなサラダが最高に美味しいんだけど
なんと言っても印象的だったのは
親子であろうスタッフお二人の豪快さ。


壁のない雰囲気で
飾らない話っぷりが気持ちよかったのです。


だからつい私もたくさん話を聞いちゃいました



2014年11月にopenされ
お店にお客さんがついてきた矢先の震災


前震のあった4月14日の翌15日
渋滞の中なんとか店にたどり着き
店を片付け
一安心したところで4月16日の本震


店はぐちゃぐちゃ
グラスやお皿はほぼ全滅


「何が大変って電気が止まって
腐った食品を冷蔵庫から出すのが大変!
 匂いはひどいし汚れるけど
 水が出ないから流せなくて」



冷蔵庫の中のものが
気が付いた時には
カビルンルンに覆われてた
なんてことを
やらかしてしまう私は
それがどういう惨状か
少しだけわかる気がします



実は一般のボランティアさんは
民家でもこんなこともされるんです

地味なように見えますが
悶絶するような臭い、汚れとの戦いで
体力勝負ではないけど
時に吐き気を覚えながらの作業は
精神的にまいる
という話を聞いたことがあります


冷蔵庫を捨てるにしてもまた使うにしても
必ず必要なこと


*****


娘さんのご自宅は一部損壊

福岡から越して来たばかりの
お母さんのご自宅は半壊認定

お店の建物は 幸い一部損壊という判定でしたが
再開のめどはいつまでたっても立たず
「これからどうなるのか」
という漠然とした不安を抱える毎日。


「店はぐちゃぐちゃだったけど
まだ開店して1年半しかたってなかったし
内装も気に入ってた
他でするのもお金がかかるから
とにかく再開できるのを待っとったったいね」


自宅の片付けをした後
お店再開までの間
親子はそれぞれアルバイトをして過ごされました。

「片付けが終われば暇だったもんだけん」って。
それに
「動ける人は動かなんよね」って。


実はお母さんは
ベテランのソーシャルワーカーさん。
震災後は せっかくならと
災害支援の窓口や介護保険の相談員を。

被災者ではありながら
福岡の職場の方のご支援もあって
仮設住宅でのイベントを
企画したこともあったそう。

「そんなことをしていたら
 引っ越してきたばかりだったけど
 知り合いが増えたのは嬉しかった!」 

と心折れそうな状況でも
この親子は明るい




被害の度合いは様々だけど
「もらう」
「してもらう」
ってことに慣れすぎると
自立できることも
「してもらって当然」
になってくる様子もありました。


起きたことにどう向き合い
どう対処するかはその人次第


例えば
自分でどうにかできる状況でも
炊き出しを必ず待っていたり
この親子はアルバイトができたけど
被害がさほど大きくないように見えても
地震のショックから
働くような気持ちになれない人もいたのだとか。

心の立て直しは それぞれのペースがあります

だけど
明るいってこと自体
もしかするともしかして
やっぱり
生き抜く上での
財産かもしれません





私がいただいたランチに添えられていた
サラダのベビーリーフを生産する
「みっちゃん工房」は益城にあります
農家さんは損害の規模がケタ違い。

だけどそんな状況の中
チロアウトさん再オープンの時に
お祝い金をくださいました


決して余裕があるからではありません

お互いが苦しい状況の中での助け合いです


「自分のところも大変なのに
 どうしてそんなことができるんだろうって涙が出た」

業者さんも
「益城の人からはお金とれん」
と 最低限の価格で冷蔵庫を修理してくれたり

来てくれたボランティアさんとの出会いは
とても面白かったし勇気付けられた。


震災がもたらす温かさも同時に感じたと娘さん。


時間が経ち
生活が安定してくると
ボランティアさんもほとんどいなくなり
メディアでも話題になることは多くなくなった

「非日常な状態が日常になって
あえて震災のことを思い出すこともない。
自分たちのことでさえそう。
私たちも他のところでの災害を
ずっと覚えているわけではないから
忘れられていくのは仕方ないし
それでいいと思う。
だけど人が関心を持ってくれる事が
こんなにも励まされるのね」



応援してくれる人がいる
ということや
励ましの声が
勇気になり背中を押してくれる

この感覚はきっと
日常の中では感じにくいこと


物理的な支援が必要でなくなっても
精神的な支援が必要なんだと改めて。


分かりやすい「大変な状況」
な時には
「何かしたい」
という思いが沸き起こる方が多いし
どんな支援が必要か
比較的分かりやすい


だけど
ひと段落すると
それが見えにくくなります

「物は困っていなそうだし」
「義援金っていつまで?」
と。


実際 私も東日本大震災の後は
具体的な何か
行動することができませんでした。


ぜひ熊本に来て
その耳で声を聞いてください

誰かに
例えばここに
応援の手紙を書いてもいいのです


みんな、みーんな
「この経験を無駄にしたくない」
と思っています

他のどの地域でも起こりうる災害に
この経験をどうか役立ててほしいと。


その声に耳を傾けることは
聴く人の未来を守ることに繋がるかもしれないし
話す人の心の癒しにも繋がります




私の役割はそんな声を広げること
何か声を発してくれたらば
その声は
私が 出会った人々に届けます
  


Posted by hachidori.photo at 23:54Comments(0)ドキュメンタリー・取材

2018年01月25日

九州北部豪雨災害:日田市大鶴地区の今






2017年7月5日から6日にかけて
豪雨に見舞われ 被害を受けた
大分県日田市の大鶴地区を訪れました。




受け入れてくださったのは 頼政良太さん。
被災地NGO協働センターの
代表をされています。

被災地NGO協働センターは
阪神淡路大震災を機に立ち上げられ
災害が起こった地域で
社会福祉協議会が立ち上げる
ボランティアセンターのサポートなど
を行っています。
熊本地震の際は
西原村で活動してくださいました。

災害支援のノウハウを活かし
現地で発生する問題に対応していきます。


例えば 農業に影響のある地域ならば
農業に関連する作業を
ボランティアさんにしてもらうなど
地域ごとのニーズに合った作業で
地域を支援します。
なんとも地元の人には心強い!


そのニーズを把握するのも大切なお仕事。
住民の方からのお話を聞くことが
それに繋がりますが
話がしやすい状況を見極めて声をかけたり
話す方も話すことで
気持ちの整理ができることもあるようなので
頼政さん達はとても大事にされています。


2017年8月で
社協のボランティアセンターは閉鎖されましたが
頼政さんは民間のボランティア組織の
立ち上げをサポートし
現在も定期的に神戸から通い
継続的な支援をされています。



さて、今回の豪雨災害。

日田の町中は
大肥川が氾濫し
水に浸かりました。


床上浸水の場合は
家具や家電は使い物になりませんが
乾けば見た目はキレイになります。

農村部は川の氾濫と
土砂崩れがダブルで襲われました。
土砂が流れてくるので
泥水が押し寄せるのです。


家の中に泥が入り込むと 後が大変。
水だけなら乾燥させればいいですが
泥となると今後生活するのは困難、
何もかもが使い物になりません。
例えばせっかく写真が見つかっても
あってもないような状態になります。
そう言う意味では
地震よりも
始末が大変と言えるかもしれません。


家の中は片付いても 田んぼや畑、水路が
土砂で埋まっていることも多いそうです。
大鶴地区には大打撃。



去年刈り取るはずだったであろう稲が
今も実っていました。



「このくらいは自分たちで何とかしよう!」
と思われる住人の方も多いようですが
力仕事でもあり
思うように作業が進まない現状です。

今もこの支援は続いています。


頼政さんからご紹介いただき
住人の方にも当時のお話をお聞きできました。



江田 泉(こうだ いずみ)さん53歳。
ここ大鶴地区で
金光教の教師をされています。
川の氾濫した当時は
自宅兼教会にいらっしゃいました。
同じく教師をされているお父さまと
寝たきりのお母さま
そして奥さまの4人と一緒に。




ご自宅そばを流れる大肥川は 
江田さん宅から約1kmほど上流で
大きくカーブしています。
大鶴地区での被害は 雨で川の水量が増し
その川を曲がりきれず
氾濫したところから始まりました。





7月5日 15時15分

避難準備の警報が鳴りました。
外を見ると既に敷地内には泥水が。


「準備の段階超えてるがなーーー!!!」

と頭の中で総ツッコミ。

江田さんの家は
道路から少し低い位置にあります。
他の家よりも先に浸水しました。

冷静な奥様は その様子を
写真や動画に収めていました。



寝たきりのお母さまを抱え
避難しようと玄関まで行くと
腰の位置まで水がきていました。
その間、たった数分。

そのまま奥さまとともに2階へ。
お父さまのお姿はありませんでした。

階段を登りながら下を見ると
床から水が噴き出しています。
屋根に上がろうとしたけれど
一人しか通ることのできないスペースで
江田さんと奥さまは屋根にのぼり
お母さまは
2階に寝せておくしかありませんでした。




屋根から見た大鶴地区は一面が川。

田園広がるいつもの風景とは大違いでした。

屋根からは
たくさんのレスキュー隊が見えました。
後から聞くと
福岡県の朝倉市へ向かう消防車が
立ち往生していたのだと。

家の前の道から屋根にハシゴをかけてもらい
そこから救助されました。
1時間ほど屋根の上で過ごしたそうです。

レスキュー隊の方から
お父さまが無事であることを
聞かされました。



そのお父さま どうされていたかと言うと。

お祈りをしていたそうです。
1階の祈りの間で。
それから泳いで階段までたどり着き
2階へと上がり救助されました。
御歳83歳。


江田さんは家族を守ることを選び
お父さまは祈りを選びました。
その場でのとっさの判断は
良し悪しをつけられるものではなく
その人の生き様。
重ねてきた年齢によっても
異なるかもしれません。

こう公表することが果たして良いことなのか
お父さまのお気持ちは分かるけど
救助のために人様の手をとることを思うと
褒められたことではない
という思いもお持ちの江田さん。

だけど一人の宗教家の生き様として
一人の人間として
他の誰かに非難させていい領域ではない
という自身の思いを信じ
最大限の敬意と共に
ここに記させていただきます。


*お父様がいらっしゃった祈りの間。
ここまで水がおしよせました







夜中24時頃には水が引き
翌昼ごろには自宅に戻りました。

その日のうちに
南阿蘇からボランティア仲間が
ユンボ5,6台を持って
駆けつけてくれました。
それから続々と他の地域からも
ボランティア仲間や
金光教の関係者が集まり
教会や地域の復旧に向け
尽力してくれたと言います。

日本で最高気温を出すこともあるほどの
猛暑の中
連日汗を流してくれました。

「南阿蘇の方がまだまだ大変なのに
ありがたいが申し訳ない」
と話したら
「みんなから これまで全国の人に
支えられてきた恩返しがしたい!
という思いを託されてきました。
南阿蘇の人間をナメんでください!」
と返ってきたそうです。

こんなにガタイのいいおじさまなんですが
もう号泣!笑
(その場にいたかったな・・・♡)


さぁここからは泥との戦い。

泥って 拭いても拭いても消えないんです。
綺麗になったように見えても
時間が経つとザラッとしてる。
床の上も 床を剥いでも、ギッシリの泥。
教会内にユンボを入れてかきだします。
泥出しだけで半月かかりました。


救いの手には恵まれた江田さんですが
半年たった今でもお風呂はまだ使えません。


駆けつけてくれたボランティアさんには
信徒さんが集う教会と
地域の復旧をお手伝いしてもらい
ご自宅のことは後回し

その教会も まだガラスを入れておらず
ビニールシートでどうにか雨風を
しのいでいますが 極寒。

江田さんは
「それでいい」
とおっしゃいます。

中には
誰も駆けつけてくれない人だっています。
焦らず一番ゆっくりな人と足並み揃えたい、
と。







気分が落ち込むと何を失くしたかという話をする人が多い中
「ここまで失くしてるんだから
無いもの探しせず
あるもの探しじゃろー」
と積極的に働きかけていきました。

「なんもかんも泥でダメになったけど
いつもはならないザクロが実ったー
って言うたり。
 すると 玄関にある花が咲いた、みたいに
 少しずつ明るい話題が出てきた。」

そのご経験から
「今日嬉しかったことは?」
という題材で
FaceBookの投稿をしているそうです。



江田さんは今回の豪雨災害を受け
地区の名前から
「鶴の恩返し」
というボランティア団体を立ち上げました。

この日は
東京の大学生ボランティアさんと一緒に
畑の泥のかき出し作業。







「この畑は泥だけで助かる!
 石が入ると取り除かなんからもっと大変。
 はよ使えるようにしてやらなんね。」



この界隈で 江田さんのご自宅や教会が受けた被害が一番ひどかったそう。

「こんだけひどくても
明るく生きとるってことを見せたい。
 地域のみんなの勇気になるように。
 あんまり被害ないのに
「たいしたこんなか!」
 って言っても説得力なかもんね」

とニカっと笑う江田さん。

この江田さんという方にお会いできたこと
お心を見せていただいたこと
本当に幸せだなぁと思いました


被災地の話をお聞きしているようで
実は
お一人お一人の生き方を
お聞きしているのと同じなんです




〈頼政さんと江田さん〉



〈江田さんの教会にて〉
*教会の外。
今もビニールシートがはられています



*記録されていた当時の様子
教会で 奥さまが撮影されていた
当時の様子の写真を拝見しました




〈地元の直売所にて〉

*店内の様子。
 一番高い棚の上で 店長は 
 一晩水が引くのを待たれたそうです




*当時の写真が紹介されていました




*「向こうから水が押し寄せてくるのが見えて
  急いで車で坂の上まで上がった」
  と話してくださいました




〈大鶴地区の消防センター〉

当時のままの状態。
建て替えが決まっています





〈今も残る爪痕〉












今回の豪雨災害で犠牲になられた方
心よりご冥福をお祈り申し上げます

今も苦しい思いの中にいらっしゃる方には
1日も早い心の平安が訪れますように。
  


Posted by hachidori.photo at 04:02Comments(0)ドキュメンタリー・取材

2017年09月13日

はちどりphotoの753















はちどりphotoの753。


スタジオを構え
お気に入りの着物ばかりを揃え
おもしろそうな小物が集まり
なんだかもう色々と
いろんなことを
やってしまいたい感がふつふつ
ぐつぐつ出てきて
うずうずしてます

お客様、お付き合いください♡



ロケーション撮影も相変わらず大好きでひそかなオシ。

天候には左右されますが
参拝の様子や
当日のちょっと緊張した面持ちや
照れて おちゃらけちゃう様子は
その日の特別なもの





*****


その子らしさを切り取るはちどりphoto


着付、ヘアメイク、ロケーション撮影、前撮り 
もろもろご相談ください


料金プランは色々ありますが

一番人気の台紙プラン
2面タイプ+データ30カット 37000円〜

お試しプラン8000円・15000円の2パターン

などなど。

ご予算に応じてご提案します



*****

はちどりphoto STUDIO
熊本市中央区帯山4−13−18
☆帯山小学校前!

tel : 096-237-7845
  


Posted by hachidori.photo at 00:17Comments(0)はちどりphotoSTUDIO

2017年05月17日

一年経って





熊本地震から一年と1ヶ月

昨年の夏、石垣島から戻ってからも
何気に通った益城町


震災直後からちょくちょくお邪魔してた集落に行っても
ゴーストタウンのように人がいなくて
ショベルカーの無機質な音だけが
どこからか聞こえて来るようなことがほとんどでした




4月
復興イベントで東京に飛ぶ前の時間
益城の集落をふらりしていると
一年前にご紹介したご家族とばったり出会えました


たくさんの経験をした一年
元気でいてくれたことが何より嬉しかった



地震の数日前に撮影したごきょうだい写真と同じように
修復されたお家の前で。



↓一年前




熊本には更地が増えました
まだ崩れたり傾いたままの家もあります

大きな道路からは見えない集落は
少し瓦礫がまとめられたくらいで
あんまり変わっていなかったり

2017.4.29


2017.9.5


2016.12.31


2017.4.15





2016.12.31
ここに住んでいなくても
人の息を感じました





2017.4
同じ場所
昨年まで愛でられていたであろう桜が
一人咲いていました






ニュースにはならない事実がたくさんある



時間の流れに風化していくけど
世間では昔の話題のように見えていても
そこに生きる人には
一年前に起こったことのちょっと延長にいるだけ


「一見何もなかったように皆んな笑ってるけど
 本当の復興も
 心が真に癒されるのも
 そんなに簡単に早くはできないのよ。
 時間がかかるものなの。」

そう言ってくれたのは阪神淡路大震災を経験した方でした



  


Posted by hachidori.photo at 02:53Comments(0)くまもと地震

2017年05月14日

初開催!dog撮影会






気づけば明日は母の日

毎日過ぎるのが早すぎて
明日に迫っていたことに驚いた23時


熊本市南区・桜十字病院の前のお花屋さん&ドッグカフェ
「花かんらん」さんにて
ワンちゃんの撮影会を行うことになりました


2017年6月18日(日)
撮影料3000円(2Lプリント1枚込)

*何頭でも価格は変わりません
*その場でお写真をお選びいただきます
*ワンちゃんだけでなくてもOK!


午前中はご予約をすでにいただいていますが
午後はまだ空きがあります


お問い合わせ・ご予約は
花かんらんさんまで⇩
096-370-7313 / 090-2397-9946


母の日のお花を当日にお求めの方!
こちらでもかわいらしいお花のご用意がありますよ〜♬
  


Posted by hachidori.photo at 00:27Comments(0)ご報告

2017年05月11日

モデル撮影会について:続報

驚くほどご応募いただいている
5/20のキッズモデル撮影会


口コミやシェア等のおかげで
たくさんのご応募をいただいており
人気者になった気分を味わわせていただいています
ごちそうさまです
値段でなく普段選ばれるスタジオを目指します


ご応募いただいているお一人お一人にお返事したいのですが
このままでは1日がご連絡で終わってしまいそうで
いよいよ難しくなってきたので
15日の抽選結果を持ちまして
ご連絡させていただくことにいたします

ご了承くださいませ。

そして
5/12の23:59をご応募締め切りとさせていただきます
駆け込みご応募、お待ちしてます♡


  


Posted by hachidori.photo at 23:39Comments(0)ご報告

2017年05月07日

ベビー&キッズモデル募集








** ベビー&キッズモデル募集 **

熊本市中央区帯山に移転openしたサクラキノイエにて
はちどりphotoスタジオを開設することとなりました

そこで、新スタジオで
撮影にご協力いただけるモデルさんを募集します
お気軽にお申し込みくださいね!
たくさんのお子さまにお会いできるのを楽しみにしてます



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date: 2017/5/20(Sat)9:30~17:00
お1組さま30分〜1時間程度


add: サクラキノイエ 熊本市中央区帯山4丁目13−18

price: ¥1000 (衣装、ヘアメイク、データ5カット込)

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【応募要件】
◆1歳未満の赤ちゃん、1〜8歳のお子さま
◆撮影したお写真をSNS、広告、サンプル等で使用させていただける方
◆SNS等で宣伝にご協力いただける方

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応募多数の場合は抽選となります(場合によっては別日に開催しちゃうかも)
結果は15日にご連絡します。
ご応募の際はお名前、お子さまのお名前、ご年齢、性別、ご連絡先、洋服・足のサイズをお知らせください。
お子様のお写真をお送りいただければなおありがたいです♪

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⇩お問い合わせ/お申し込み先⇩
mail: ayumi@sakuraki.net .
Facebook: サクラキノイエ / はちどりphoto
Instagram: sakuraki_4ur_life / hachidoriphoto
  


Posted by hachidori.photo at 01:41Comments(0)ご報告

2017年05月01日

SAKURAKI no ie内にスタジオができちゃいます!




はちどりphotoが所属する(株)Sakurakiは

『ママとパパの大切なお子様との日々に
 彩【イロドリ】を与える』

をモットーとした キッズルームのあるカフェ
SAKURAKI no ie(サクラキノイエ)
を運営していましたが
昨年の熊本地震で店舗が半壊の認定を受け
営業停止を余儀なくされました

でも黙って泣いてるわけじゃない

お店にあったおもちゃを持って
避難所や仮設住宅を回る日々。

そこからご縁やアイディアや新しい感覚が生まれました。


一年の営業停止&準備期間を経て
熊本市中央区帯山に場所を移し
さらにパワーアップしたSAKURAKI no ieを
openすることとなりました


お子さま連れには嬉しいお店のつくりになってます。

☆全面コルク張り
☆キッズスペースには柵!
☆窓にも柵!
☆赤ちゃん連れに嬉しいベッド席有
☆低い位置に物がない!
☆お子さん連れのお客様ランチ大盛り無料
☆生産者の顔の見える信頼の素材を使ったメニュー
☆子ども向けのお店だけど甘くないデザイン
☆スタッフが子どもと遊んじゃう
☆パパママ世代の本ずらり
☆授乳室完備


そして、また嬉しいのが
リラクゼーションルームがあること

ママがリラックスしてる間、お子さんも楽しく遊べます


もちろんお子さん連れでなくても大歓迎
男性でもサマになるデザインの店内なので
ふらりとコーヒーを飲みに来ていただいたり
PC持ってお仕事に来ていただいたり
そんなことも期待してます



そこに、はちどりphotoはフォトスタジオを
開設させていただくこととなりました

メニューも変えて
これまでやりたかったことにも挑戦していきます

Sakurakiだから出来ること、
Sakurakiだからできるデザインを強みに
一歩一歩 前に進んでいきます

どうぞ応援してください


そんなこんなで
SAKURAKI no ie は
カフェ
キッズルーム
リラクゼーション
フォトスタジオ併設の
親子のリラックススペースとなって
いよいよ5月5日open

遊びにきてね

https://sakurakinoie.themedia.jp/


※photoスタジオの正式openは5/20です
この日はモニター撮影会を予定しています
  


Posted by hachidori.photo at 02:49Comments(0)ご報告

2017年02月13日

ひなまつり撮影会2017



そろそろお雛様が登場したご家庭もあられることと思いますが
はちどりphotoにて
桃の節句のご撮影いかがでしょー?

初節句のベビちゃんだけでなく
いくつになってもお雛祭りはお祝いしてあげるもの。

お祝いのお気持ちをお写真に残しませんか?


私も
Sakurakiテイストのおひなさんって
どんなんだろー?
とわくわくしています

打ち合わせの段階からSakurakiの
他にはないセンスが光っています


そして今回は
愛してやまない
愛されてやまない
Shop of Cookie Emi's
アイシングクッキーとのコラボあり!!!

Emi`sのアイシングクッキーは
全国でも大人気!
私もそのセンスに惚れ込んでる一人です


この撮影会だけでしか見れないデザインが
「つるし雛」となります


その他、Sakurakiアレンジのひな壇や
参加者さまそれぞれのお名前モチーフで製作した小道具などもご用意!
こちらのお名前小道具はお持ち帰りいただけます

小道具など、
お持ち込みのご希望も承りますのでお気軽にご相談ください。


テーマはひな祭りですが
それにこだわらず お誕生日、家族写真、などなど
どんな用途でご利用いただいてもオッケーです♪

通常の空間デザイン込みの撮影より
リーズナブルな価格設定にもなっていますよー!






【Sakuraki Presents
 はちどりPHOTO  ひな祭り撮影会】


2017/2/25 , 3/3 , 3/12

一日先着5組様♪

ひな祭り特別価格 22000円(お写真データ5枚)

2/15までのご予約で2000円引き!

お問い合わせ・ご予約:
   * 株式会社Sakuraki * 
    080-9446-1101 / info@sakuraki.net
もしくはこのブログにコメントください
  


Posted by hachidori.photo at 23:53Comments(0)***ご案内***